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村上龍「コインロッカーベイビーズ」

新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)

新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)

約40年ほど前に発行されたこの本を、今の日本に現在進行形で読んでいる人がどれだけいるのだろう。そして、この本に共感する人間がどれくらいいるのだろうか。

この本を読んで、いかに自分が文学とは無縁であるか、そして世の中に疑問を持たずに生きているかを実感させられた。

本書は全部で約500ページほどあるが、完読するのにかなりの時間がかかった。

後半20ページの疾走感は素晴らしいし、全ページを通して自分には全く想像もできないフレーズのオンパレードで小説家にしか表現できない素晴らしい作品。でも主人公の二人には全く共感できず、物語にのめり込むことは難しかった。それは自分が普通の家庭で生まれ、普通に生きてきて、この世界を特に生きづらいとも感じず、のほほんと生きてきた証拠なのだろうか。確かに今思えば何てことないことだが、思春期には多少の悩みもあったが生きづらいとまではいかなかった。この世が生きづらい人間は、本書の主人公に共感を覚え、世の中を破壊してしまいたい衝動にかられるのだろうか。そういう人間でないことを素直に喜ぶべきなのか。

正直なところ、読後はあまり気持ちのいいものではないし、満足感もなかった。それは自分に合わなかっただけなのか、自分が未熟なだけなのか。あまり文学作品を読んだことがないので他のもこんな感じなのか、この作品だからこんな感じなのかわからない。つくづく自分には推理小説やミステリーがお似合いだと感じた。